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アメリカの中央銀行にあたるFRBが17日、サブプライムローン問題を端に発した一連の金融不安により経営難に瀕している巨大保険会社AIGに対して850億ドルの融資をすることを決定しました。この件に関し、FRBが15日に破産したリーマン・ブラザースに対して「民間の問題は民間で解決すべき」として救済を行わなかったこととの一貫性が取り沙汰されています。
パターソン・ニューヨーク州知事の声明
Too Bad to fail. 失墜させるにはあまりに大きすぎる。この記事を掲載する時点でのニュースを見るかぎり、FRBがそう判断したと解釈しているものが多いです。確かに問題が大きすぎるからこそ融資したのでしょうが、その融資は果たして企業を経営難から立ち直させる性質のものであるかどうか論じられていないのが気にかかるところです。
FRBのプレスリリース
The U.S. government will receive a 79.9 percent equity interest in AIG and has the right to veto the payment of dividends to common and preferred shareholders.
この声明文をもってFRBの融資によりアメリカ政府はAIGの79.9パーセントの株式取得の権利を得たと報道されています。しかし、複式簿記をやられている方なら「それはどのように会計処理するつもりなの?」とまず疑問を感じるところでしょう。それらの報道を文字どおりに単純化して会計処理すれば、(流動資産) 850憶ドル / (資本金)850億ドル 、すなわち資本金の増加となってしまいます。しかしながら、既存の株主の決議なしでこのような取引が実現されるはずがありませんから、この場合はあくまで、 (流動資産) 850憶ドル / (負債) 850億ドル 、という取引がかわされたと判断するのが正しいでしょう。ではなぜFRBはこのような株式の所有について述べているのでしょうか?
ニュアンスに潜む真意
850億ドルという数字は、AIGの公表している財務諸表の数字が正しいとするならば、ほぼ株主資本(総資産から総負債を差し引いた純資産額)の額と同等です。有形無形合わせて1000万円財産がある人がその1000万円の価値があるとされる財産を担保に現金1000万円を金融業者から借りた。取引の実態としては金額が違うだけで全く同じでしょう。すなわち上述の声明文はアメリカ政府がAIGの財産を担保に取ったことを意味します。
仮にその人の年収が100万円程度(現段階のAIGの収益はこの割合以下)で返済期限が2年だったとしたらどうでしょう?新たに融資を受けるか、あるいは資産を切り崩さない限り返済は困難なレベルです(神風でも吹けば話は別ですが)。前者はまさにサブプライムローン問題の発端となった借り手側の行動であり(以前日本でも問題となりました)それを選択すればまさにミイラ取りがミイラになることになります。
上記の声明文で主語がThe U.S. government となっているのがとても印象的です(事実この資金は政府から捻出されるのかもしれませんが、中央銀行と言われるもののFRBは日本と違い本来は民間企業に属します)。すなわち、この融資決定には猶予(融資)付きで清算を促しているといった行政執行的なニュアンスが含まれています。それゆえ「民間の問題は民間で解決すべき」と同様、AIGを突き放したような態度にそれほど変化はないでしょう。
なぜ融資が付いたのかといえば、CDSの影響があまりにも大きすぎると判断した上でのことでしょう。金融市場で取引されているクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)。これは言ってみれば債務保証を金融商品化したようなものですが、AIGがらみでちらほらと目にするこの言葉が、もしこの融資が行われないとするならばサブプライムという言葉に代っていつまでもニュースを支配するほど重大なものであると感じられます。なぜならば総資産で100兆円以上もある企業が融資の取り次ぎにこれだけ慌てているくらいですから。
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